光ファイバーは、離れた場所に光を伝える伝送路である。
光ファイバーはコアと呼ばれる芯とその外側のクラッドと呼ばれる部分、そしてそれらを覆う被覆の3重構造になっている。クラッドよりもコアの屈折率を高くすることで、全反射や屈折により出来るだけ光を中心部のコアにだけ伝搬させる構造になっている。コアとクラッドはともに光に対して透過率が非常に高い石英ガラスまたはプラスチックでできている。
また、被覆がないコアとクラッドのみの状態を単に「光ファイバー」と呼び、光ファイバーの表面をシリコーン樹脂で被覆したものを「光ファイバー素線」、光ファイバー素線をナイロン繊維で被覆したものを「光ファイバー芯線」、光ファイバー芯線を高抗張力繊維と外皮で被覆したものを「光ファイバーコード」とする呼びかたもある。複数の光ファイバー芯線に保護用のシースと呼ばれる被覆をしたものを光ファイバー・ケーブルと呼ぶこともある。
光ファイバーの中を伝播する光の経路によってモードが分かれる。つまり、光が光ファイバーのごく狭い中心部だけを通るものが「シングルモード・光ファイバー」であり、光が光ファイバーの中をある程度の幅をもって通るのが「マルチモード・光ファイバー」である。
また、円筒状の伝送路である光ファイバーに横波である光を伝送すると、経路が同じでも偏波面が異なる、いわゆる偏波モードが生じる。光ファイバーの形状が完全な円筒であり、屈折率や温度などの条件も完全に均一であれば、伝送特性は偏波モードに依らない。しかし、実際には製造工程での狂いや外力などの不均一性により、伝送特性が偏波モードに依存することが多い。偏波モードによる伝送特性、特に遅延特性の差は偏波モード分散と呼ばれており、主に波長分割多重や長距離伝送にて伝送距離を制限する。
グレーデッド・インデックス型は、屈折率分布型とも呼ばれ、コアの屈折率が動経方向に対して二次関数的に連続変化するようなものである。中心から離れるに従って屈折率を小さくしているため、光が徐々に屈折しコアに閉じ込められることになる。また、媒質中の光の速度は屈折率に反比例するため、光の速度は中心から離れるにつれて速くなる。これにより、斜めに進む光と直進する光が端から端まで到達する速度は同じになり、伝送波形が崩れにくい。ステップ・インデックス型に比べ製造が難しく高価になりがちであるが、高速伝送が可能である。ガラス製の場合、クラッド外径が125μm、コア径が50μm、62.5μmの2種類があり、10Gbpsで500mの中距離高速伝送が可能である。完全フッ素化ポリマーを使用したプラスチック製の場合、クラッド外径が500μm、コア径が120μmであり、10Gbpsで100mの伝送が可能である。
マルチステップ・インデックス型は、コアの屈折率が動経方向に対して段階的に変化するものである。SI型とGI型との中間的な性質を持つ。
ステップ・インデックス型は、コアとクラッドの界面のみで屈折率が不連続に変わるものである。コアとクラッドの境界面で全反射するような角度で入射させ光を伝送する。しかし、斜めに入射した光が中央を真っ直ぐ進む光より長い距離を進み到達時間が長くなることになり、長距離伝送後に元の波形が崩れてしまうという欠点がある。グレーデッド・インデックスに比べ製造が簡単で安価であるが、高速伝送・伝送距離などの特性はやや劣る。プラスチック製の場合クラッド外径が1,000 - 750μm、コア径が980 - 500μm程度であり、LEDを光源とした400Mbpsで10m程度までの伝送が可能である。音声やビデオの短距離伝送に用いられている。
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